満月の中、バイクで道路を走る

 

 

朝、ドアを開けると庭の角にうっすらと白い光が差し込んでいた。

 

「2階住民の窓の明かりか」 と思ったけど

 

カブに乗って道路に飛び出すと、暗い空にマンマルの白い月が見えた。

 

僕はその月をじっと見た。

 

「満月って問答無用に美しいなぁ」

 

そんなことを思っていたら、心なしか胸が膨らんできた。

 

Tシャツが膨張して破れたと思うと、腕から多数のフサフサした毛が生えてきて

 

パンツのお尻辺りがモッコリしてきた。

 

片手運転しながらもう片方の手をパンツの中に入れると

 

フサフサしたロープのようなものが複雑に絡み合っているような気がした。

 

昨日剃ったばかりの顎(あご)にいつもの癖で手をやると

 

顔全体に長いひげが出現してきている。

 

「やばいぞ、これから配達なんだ。コンビニ店員や大学の警備員にも挨拶しないといけないんだ。」

 

 

 

 

 

 

というような空想をしながら、眠い目をチカチカさせてハンドルグリップをまわし続けた。