ゴキブリと暮らす。
シャワーを体全体に浴びながら窓を見ると、まっさらなオレンジ色の光で満たされていた。
なるべく早くインターネットを見たかったから本谷ダイキはアカこすりで丹念かつスピーディに体をゴシゴシとこすった。少し痛かったが、それは不快ではなくむしろ快感を催させた。そんなふうに今日一日の汚れを落としていった。
風呂場から上がると最初に黒く動く物体が目に入った。コオロギに似ているがそれよりはもっと大きい。
「ちぇ、この前ホイホイ買ったのに全然効かねーじゃん」
本谷ダイキはそうつぶやいた。少しにやけながら、困ったような表情を見せた。
ゴキブリは一匹ではない。おそらく数十匹は生息していた。
退治しても退治しても、まったく減らないその繁殖力に、本谷ダイキは半ばあきらめの気持ちを持っていたと言ってよい。ゴキブリと共に暮らすのは精神衛生上好ましくなかったが、彼らが本谷ダイキに肉体的な苦痛を与えたことはまったくなかったのである。
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